平成31年3月5日 第1回議会定例会開会の挨拶(所信表明)
更新日:2021年6月2日
おはようございます。日射しの強さに春を感じるこの頃、本日、第1回板倉町定例議会を招集いたしましたところ、全議員に出席いただき、誠にありがとうございます。また、2月12日の開庁式以来、初めて新しい議場を使っての第1回定例会であります。いざという時には、議場も全て開放する計画のもとに、前議場と同じく、教室型を取り入れてのデザインでありまして、議員皆様の理解をいただき、高価で応用の効かない議事堂型を選択肢からはずしていただきました。入れ物より中の人材が素晴らしくの方向性を出していただいた議会に敬意を表します。
今議会は次年度の予算を審議いただく議会でありますが、まずは1年間を振り返りますと、日本を取り巻く近隣国との関係が話題に大きく挙がった年でありました。
第1には、何と言っても、日朝間に大きな影響を及ぼす米朝首脳会談、トランプ・金正恩のトップ会談が行われたことです。事前の予想も難しい中、どこまで核・ミサイル廃棄に関する話し合いがなされたのか、声明の中でも読み切れるところはほとんどないと言われました。その後、両首脳の個人的尊重関係は保たれているようでありましたが、2月28日、この時期に2度目の会談がベトナムにて開催されました。2日間の交渉は不成立に終わったようでありますが、今回、前回会談以上の成果が上げられるよう期待し、あわせて拉致問題の解決に大きく近づくよう、安倍首相のトランプを通しての影響力に期待したい日本政府の姿勢でしたが、期待はずれの結果は残念なことであります。今後に向かって、さらに長い目で見ざるを得ないということであろうと思います。
北朝鮮外交に共同戦線を組み、お互いの協力関係を誇示して、北朝鮮の大きな譲歩(非核化)を引き出すことの関係であるべきが、なぜか悪化しているようにしかみえないここのところの日韓問題。竹島、慰安婦、徴用工問題、日本企業差押え問題、自衛隊機レーザー照射問題等、次から次へと関係悪化にみえる状況が起こっています。友好関係を保ちつつ歴然とした態度で臨むことを政府に期待したいと思います。
日ロ間の北方領土問題におきましても、交渉したたかなロシア側に2島返還論で合意をしてしまうのか、一部安倍首相の一方的へりくだり外交との報道もある中、成果に大きな期待とそれ以上の不安を抱える多くの国民がいることも事実であります。一連の外交が政治ショーで終わらなければ良いがとの観測もある中、肝心要の拉致問題を含めて、いずれも難問ではありますので、最長内閣として外遊回数は断トツの外交力を踏まえ、具体的成果は寂しいものがあるとの評は残念でありますが、いよいよ拉致問題は私の出番という安倍首相の、対北外交のこの先の意気込みに期待したいと思います。
変わりますが、国内問題では、変わらず全国各地での自然災害の多い年でありました。安全安心に大きな不安が継続していますので、対応対策に全力を挙げるのは当然ですが、国民の皆さん1人ひとりが、全て役所任せでなく、自分の生命は自分で守るの意識がなければ最終的には何にもならないことですので、その点を最重要課題と捉え、今後も進めていかねばならないと思います。
ハラスメントの問題も国会議員を始め、首長、団体代表、指導者等が特にクローズアップされて大きな話題になりましたが、また、公務員(官僚)に対する信頼の失墜もここまで落ちたかと思うほど、次から次へと不祥事案が露呈されました。現在も統計不正に対する追求が国会で行われています。不正の事実は認めても、その目的については、言わない、記憶にない、指示はない、責任も取らない、最後は法的にも罪はない、罰は受けないというパターンが作り上げられているような印象を強く受け、子どもから見た大人像が、言い訳と他への責任転嫁、最後は自らの保身はこうやれと勧めているようにみえるものばかりであり、将来の日本に与える悪影響は大きいと言わざるを得ません。
子どもや施設患者に対するDVも含め、そして、交通マナーの問題であるあおり運転、幅寄せや乱暴運転、いずれも法無視、自分中心、キレる、限度がない、そして暴力が加わるということで、日本もいつの間にこんな世の中になったんだろうとむなしい気持ちになるのは私だけでしょうか。そして、国内問題として長い闘いになっている、悲惨な歴史を背負う沖縄問題、市街地のど真ん中にある普天間基地の完全撤去返還に関する手法の違いから、代替え案である辺野古の埋め立て賛成、反対に分かれ、知事選、市長選で繰り返し民意が問われてきました。今回初めて問題を1つに絞った形での県民投票が行われました。結果として、投票率が50%を超え、埋め立て反対が7割を占めることに対する民主国家としての判断が求められ、全国民の注目が沖縄知事と政府に集まる状況にあります。賛否だけで国防は決められないとする国と、民主国家の象徴としての多数決の原則をどのように扱うのか、憲法学者の意見も割れている状況ですので、その対応は一致することがないのかもしれません。見守りたいと思います。
そういった内外状況の中、まず、国の新年度予算案を端的に改めて申し上げさせていただきますと、総額101兆4,571億円、対前年度3兆7,443億円、3.8%の増であります。歳入のうち国の借入金である公債金は約32兆6,605億円、対前年度マイナス1兆317億円でありまして、公債依存度は32.2%であります。平成31年度末の国の公債残高は約897兆円の見込みであり、国の一般会計税収予算額の約14年分の借金を抱えての新年度予算であります。ちなみに、それを同じく国民1人当たりに直しますと、1人当たり約713万円、1世帯当たり4人家族として2,852万円の借金を背負っていることになります。また、地方自治体の借金は、225兆円と言われており、国、地方合わせて1,122兆円と言われています。
次に、群馬県の平成31年度当初予算案は、7,511億2,000万円、対前年度181億4,000万円、2.5%の増であります。歳入のうち県の借入金である県債の発行額は1,125億円、基金繰入金は124億円でございます。平成31年度末の県債残高は約1兆2,679億円の見込みであり、県の一般会計税収予算額の約5年分の借金を抱えての新年度予算であります。『ぐんまの未来実現予算』とし、「人づくり」「暮らしづくり」「産業活力の向上・社会基盤づくり」の3本の柱を基本目標とした施策体系になっております。
そういった国、県の予算編成を踏まえまして、当町におきましては、以下の状況を鑑み、予算編成を進めたものであります。
平成28年度に役場新庁舎建設工事に着工し、その財源として積立金からの繰入れと町債の借入れを行ってきているため、平成21年度から増加を続けていた一般会計の積立金残高は、平成27年度末の37億600万円をピークに平成29年度末には28億2,026万円へと減少し、新庁舎完成後の平成30年度末には20億円台半ばまで減少する見込みであります。一方、平成23年度から減少を続けていた町債(借入金)残高も、平成27年度末の37億6,404万円をベースに平成29年度末には39億1,946万円へと増加し、同じく今年度末には40億円台半ばまで増加する見込みであります。
平成29年度は、当町の歳入割合の最上位を占める町税については、企業誘致が着実に進んでいることもあり、平成に入って以降、最も高い水準となりましたが、毎年度5千万円を超える産業施設設置促進奨励金の支出が今後数年間は続いていくことが見込まれており、実際の恩恵は数年先となります。また、町税と相反する関係にある地方交付税は、平成に入って以降、最も低い水準となっています。
今年度、役場新庁舎建設と広域防災情報伝達システム整備が完了する見込みでありますが、役場新庁舎の建設にあたり約6億円、広域防災情報伝達システムの整備にあたり約2億円の借入れを行う予定であり、これらの借入金については、来年度以降返済していくことになるため、実際の町の負担増は平成31年度以降になります。更に、町としては、役場旧庁舎、八間樋橋の解体撤去や小学校統合によるスクールバスの運行などが控えており、一部事務組合では、既に完成した館林厚生病院の耐震建替えや館林衛生施設組合のごみ処理3施設の建設に伴う借入金の元金返済の開始や館林地区消防組合消防本部の移転新築の着工に伴う負担金の増加も見込まれる状況であります。
以上のような状況から、平成31年度以降は、公債費や負担金といった経常経費の自然増が確実であり、従来に増してより一層気を引き締めた財政運営を行っていかなければならない状況にあります。
以上のことを踏まえ、31年度の予算において重点的に検討する事項を、町長の基本政策と定め計上し、内容によっては他の事業費の圧縮も視野に入れながら、地方創生推進に関する施策の実現に向け、
- 小学校再編に要する予算
- 小中学校ブロック塀安全対策予算
- 既存施設の解体・撤去関係予算(再利用検討も含む)
- 生活インフラ整備予算
- 企業・商業誘致の促進予算
- 移住促進・住宅分譲推進予算
- 産業振興予算
- 健康増進、健康寿命延伸に要する予算
- 公共財産再利用等に関する検討予算
- 合併協議に要する予算
- 消費税引き上げと併せて行う社会保障の充実予算
等を中心的に予算編成を行ったものであります。その他、税の収納率の向上、PDCAサイクル理念のもと、徹底的な効率効果の検討、周辺自治体との大きなサービス格差のないことの検証を随時行いながら、不測時における緊急、突発的な必要予算の確保等、限られた財源の範囲での慎重な検討を指示いたしています。
役場庁舎の新築移転が済み、職員全員がこれを機に出直し的改革の意思のもと、外観も中身も素晴らしいとの評をいただけるよう全力で頑張ることを一同を代表してお誓い申し上げながら、天皇の御退位による新元号の年へと進んでまいりたいと思います。10日間の議会ですので、体調にお気遣いいただきながら、原案通り全議案可決いただけますようよろしくお願いいたします。