令和2年8月18日 渡良瀬遊水地の治水事業促進に関する4市2町首長要望の考え方
更新日:2020年8月28日
令和元年台風第19号による豪雨がもたらした利根川流域における平均降水雨量は310ミリであり、昭和22年のカスリーン台風とほぼ同じであったといわれています。カスリーン台風の際は、周辺地域のあちこちで堤防が決壊し、当町はもちろん、大利根町(現在の加須市)でも利根川本流の決壊によって多数の犠牲者が発生したほか、その氾濫による浸水被害が東京都にまで及んでいたことが当時の関係者によって語り継がれています。
台風第19号の際に堤防決壊を免れることができたのは、「堤防敷の増強、八ッ場ダム1億トンと渡良瀬遊水地1.7億トンの貯水力のおかげ」とか「栃木市や佐野市の渡良瀬川支流が決壊したため」など、多様な意見があります。恐らく、いずれも正解であり、それぞれの相乗効果によって助かったのだといえるでしょう。
現在、大規模水災害が起こる可能性は、昨今の異常気象下では否定できないどころか、当町を始めとした利根川中流域では間違いなく起こることを前提に広域避難の重要性(命だけは最低守ろう)が強く叫ばれるようになり、全力を挙げて取り組んでいるところであります。
しかし、改めて考えてみると、相当な年数と膨大な資金を費やした八ッ場ダムは、我々利根川中流域から遠く離れた山奥での大きな自然破壊、そして大きな地元住民の犠牲の上に完成したものであり、その大きな恩恵を他力本願的に受けているわけです。この先、それでもなおダム機能(治水機能)が足りないのだとすれば、広域避難の必要性を強く肯定しながら、「我々の地域の力で治水に大きく役立つものは何か」と考えた末の方策として「ダムに匹敵する第二谷中湖を渡良瀬遊水地内に掘ること」を強く求めるべきとの結論に至りました。
東京都から60キロメートル圏にある足利市、栃木市、佐野市、小山市、野木町、古河市、館林市、板倉町、明和町、加須市など、水害におびえる関東どまんなか都市部のそれこそ浮沈に関わる治水容量の拡大方策であり、何より優先して国に要請する事業であります。ラムサール条約登録湿地としての自然環境保全と協調して考えるべき「命の問題」でありますので、国のご理解とご協力をお願い申し上げ、一日も早い着工を願うものであります。