甲冑(かっちゅう)
更新日:2019年3月1日
この甲冑は、素掛縹糸威最上胴丸(すがねはなだいとおどしもがみどうまる)と呼ばれています。室町時代末期のものです。
特徴は、鎧から具足(注釈1)(当世風具足(ぐそく))へ移行する過渡期の様式を見せている点です。
胴部については立挙(たてあげ)(注釈2)は三段で具足風ですが、長側(ながかわ)(注釈3)は四段となっており鎧の様式となっています。鉄一枚ずつを威(おど)し(注釈4)た最上胴(注釈5)です。
時代から見て、上野国中世の国人層(注釈6)の武士の着用であったことが推定できます。
(注釈1)
具足:室町時代末期から用いられた甲冑の一形式で、装具の完備したもの。
(注釈2)
立挙(たてあげ):鎧の胴の上部の前後で、胸と背とをおおう部分。
(注釈3)
長側(ながかわ):鎧の胴まわりの部分。
(注釈4)
威(おど)し:鎧に用いる革または鉄板金でできた縦長の小形の短冊形の小札(こざね)を縦に連結する糸と革のこと。「緒通し」の意味。
(注釈5)
最上胴:鉄板を蝶番(ちょうつがい)で合わせた胴。
(注釈6)
国人層:在地領主・地侍などの人たち。
