渡良瀬遊水地(ラムサール条約湿地)
更新日:2024年2月19日
渡良瀬遊水地の概要
渡良瀬遊水地は、東京から約60キロメートルに位置し、4県(群馬県、栃木県、埼玉県、茨城県)の4市2町(群馬県板倉町、栃木県栃木市、栃木県小山市、栃木県野木町、埼玉県加須市、茨城県古河市)にまたがる遊水地です。渡良瀬川、思川、巴波川の3つの川が流れ込み、約4キロメートル下流で日本一大きな利根川に合流しています。南北に約9キロメートル、東西に約6キロメートル、周囲の長さは約30キロメートル、堤防や台地に囲まれ、総面積は約3,300ヘクタールです。
渡良瀬遊水地とラムサール条約
渡良瀬遊水地は広大なヨシ原が特徴で、貴重な動植物が数多く確認されており、平成24年7月にはルーマニアで開催された第11回ラムサール条約締約国会議において、ラムサール条約湿地(国際的に重要な湿地)に登録されました。ラムサール条約は、正式名称を「特に水鳥の生息地として国際的に重要な湿地に関する条約」とし、1971年イランのラムサールで採択されたことから、一般に「ラムサール条約」と呼ばれています。この条約では、水鳥の生息地はもちろん、そこに生息・生育する動植物にとって重要な湿地環境を、幅広く保全・再生しながら、そこから得られる恵みを持続的かつ適正に利用していくことを目的としています。
板倉町では、本来の機能である治水に配慮しつつ、ラムサール条約の理念である「賢明な利用」を図るため、町民の皆様や群馬県、関係自治体と連携しながら、渡良瀬遊水地の利活用を進めます。
(注釈)ラムサール条約湿地登録(鳥獣保護区指定)面積は2,861ヘクタール
渡良瀬遊水地の生い立ち
この地が遊水地となったのは、明治43年から大正11年にかけて実施された渡良瀬川改修工事によるものです。それ以前の渡良瀬川は、遊水地の西側を海老瀬七曲がりといわれるように曲がりくねって流下し、思川、巴波川は、現在の遊水地の南部を流れ、渡良瀬川に合流していました。また、北部には、赤麻沼、石川沼という大きな沼があって、谷中村などの周囲には、囲堤が築かれていました。
この地は、上流の足尾銅山による鉱毒事件に関連して遊水地計画ができ、栃木県による谷中村買収、藤岡町(現栃木市)への合併が行われ、明治43年の洪水後、国による渡良瀬川の改修計画等で現在の遊水地となりました。この遊水地を調整池化して洪水調整効果を高めようと計画が施されたのは、昭和22年のカスリーン台風による大出水を契機に策定された昭和24年の利根川改修改訂計画に基づいています。調整池工事は、昭和38年から始まり、第1調整池は、昭和45年に、第2調整池は、昭和47年に概成しました。第3調整池は、巴波川上流の改修計画の進捗に合わせ、平成9年に完成しました。利根川では、2から3年の間隔で、渇水による取水制限が行われている状況です。このため、供給地に近い第1 調整池に渡良瀬貯水池(谷中湖)を建設し利根川上流域のダム群と連携を図って平成2年より、渇水時に水の補給をしています。
交通アクセス
車を利用する場合
東北自動車道館林インターチェンジより東へ約20分
国道354号線三国橋より北西約3キロメートル
東武日光線を利用する場合
板倉東洋大前駅より 徒歩約11分(950メートル)
渡良瀬遊水地の動植物
渡良瀬遊水地は、内陸部では国内最大級の面積をもつヨシ原(約1,500ヘクタール)のある湿地で、世界的に湿地が減少する中で貴重な存在となっています。その広大な湿地環境は一見単調に見えますが、微地形や土壌水分などの違いにより多様性豊かな環境があり、植物で約1,000種、鳥類約252種、昆虫類約1,700種、魚類約50種の生態系が形成されています。そのうち、国指定の絶滅危惧植物が60種類、野鳥は44種、昆虫では23種の国指定絶滅危惧種が生息しています。
確認されている動植物は、関東地方の主な湖沼と比べ、その種類・数は群を抜いています。現在、関東地方でこれほどの豊かな自然環境を維持している地域は限られており、大変貴重な場所となっています。
渡良瀬遊水地の湿地環境の保全
昭和30年代まで大小の池沼が点在し、水生生物や湿生植物などの群生も多く見られましたが、その後河川水位の低下などに伴い、地下水位も低下して乾燥化が進み、今日までに遊水地特有の貴重な在来の植生が失われるなど、湿地環境は悪化しています。
この失われた湿地環境を再生するために、第2調整池内で大小の沼、湿地環境を再生し、外来種の増殖を抑え、多様な動植物の生育場の再生を目指しつつ学術調査や環境教育等の場としての活用を推進しています。
また、3月下旬には、ほぼ全域に渡ってヨシ原に火をつける「ヨシ焼き」が行われています。ヨシ焼きは害虫を駆除し、樹木の侵入を防ぐことで、生態系の保全につながるという重要な役割を担っています。
わたらせ自然館
わたらせ自然館は大谷石造りの米蔵を改築利用して、緑道につづく遊水地の入口に開設されました。遊水地を立体模型や植物のジオラマ展示などで紹介する、インフォメーションセンターです。
多目的室では、光ファイバーから送られる遊水地のリアルタイム映像を見ることができます。その他にも300種以上の蝶や昆虫の標本が展示されています。時期によってはコンサートや企画展、各種教室等も開催され、アットホームな雰囲気です。ゆっくりとくつろげるラウンジも用意しています。遊水地をもっと知りたい、もっと楽しみたいというかたにおすすめです。
開館時間 | 午前9時から午後4時30分まで |
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休館日 | 月曜日・火曜日及び祝日の翌日(月曜日が祝日の場合は火曜日・水曜日) |
所在地 | 〒374-0111 群馬県邑楽郡板倉町大字海老瀬4663-1 |
電話番号 | 0276-82-1935 |
渡良瀬遊水地のロゴマーク
渡良瀬遊水地保全・利活用協議会では、平成24年7月のラムサール条約湿地登録から5周年を迎えるにあたって、渡良瀬遊水地の価値や魅力をさらに高め、親しみを深めてもらうことを目的として、渡良瀬遊水地のシンボルとなるロゴマークを募集しました。(募集期間:平成28年9月20日から10月21日まで)
渡良瀬遊水地周辺の4県4市2町の皆さまをはじめ、全国から165点という多数の応募をいただき、これらの中から協議会構成団体による1次審査及びロゴマーク選定委員会による2次審査を行い、栃木県栃木市の岸明日香さんの作品を最優秀賞に決定しました。
このロゴマークは、渡良瀬遊水地のシンボルとして、今後ラムサール条約湿地登録5周年記念事業や渡良瀬遊水地の魅力発信のための広報などに活用されます。
デザインの説明(イメージ、コンセプト、PRポイント等)
コンセプトは「渡良瀬遊水地は4県にまたがる、多様な生き物の憩いの場」です。4つの曲線は、栃木・群馬・埼玉・茨城の「4県」と野鳥・植物・昆虫・魚の大きく分けて「4種」の多様な生き物からなる遊水地の生態系を表しています。中央のハートは「ハート池」の形を象っており「生き物の憩いの場」という意味を込めました。色は4県のマークの色と、水をイメージした色を使用しました。親しみやすさとマークとしての汎用性を考え、全体を円の形にまとめました。
渡良瀬遊水地ロゴマークに関する著作権等一切の権利は、協議会が有しています(商標登録出願済み)。使用を希望される場合は、使用規程に基づく使用届出が必要となりますので、下記問い合わせ先までご連絡ください。
ロゴマーク使用に関する届出・お問い合わせ先
国土交通省 利根川上流河川事務所調査課
〒349-1198 埼玉県久喜市栗橋北2丁目19-1
電話 0480-52-3958
電子メール [email protected]
関連リンク
- 一般財団法人 渡良瀬遊水地アクリメーション振興財団(外部サイトにリンクします)
- 国土交通省 関東地方整備局 利根川上流河川事務所(外部サイトにリンクします)
- 環境省 (ラムサール条約と条約湿地)(外部サイトにリンクします)